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診療科目小児科・内科

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院長コラム

溶連菌感染症の流行

 溶連菌(ようれんきん)という細菌をご存じだろうか。A群溶血性連鎖球菌を略したものだが、小児科ではとてもポピュラーな細菌だ。主に咽頭炎や扁桃炎の原因菌で、まれに伝染性膿痂疹(とびひ)など皮膚の感染症を引き起こす。通常、学校感染症としての溶連菌感染症は溶連菌による咽頭扁桃炎のことをいう。

 症状はのどの痛みと首のリンパ節腫脹、発熱である。のどの発赤が強く、上あごの出血班や舌が苺に似る苺舌もよくみられる所見である。体に細かい発疹が見られることがあり、猩紅熱といわれるが、現在はこの病名はほとんど使われない。腹痛や嘔吐といった胃腸症状が見られることもよくある。溶連菌感染症が疑われた場合には、迅速診断キットを使うと5~6分で診断ができる。

 平成29年6月は溶連菌の感染を疑って検査した63人中陽性者は41人であり、前年6月の検査15人中陽性6人と比べて非常に多かった。小児は2歳~12歳で35人であり、成人は6人全員が母親で子どもからの感染と考えられた。最新の神奈川県衛生研究所の感染症週報によると、平塚保健所管内で溶連菌感染症が警報レベルを超えており、当院の状況と一致した。

 溶連菌感染症の場合、適切な抗菌薬を飲むことにより、24時間で感染力がなくなるとされる。治療は、第一選択がペニシリン系抗菌薬10日間、第二選択がセフェム系抗菌薬5日間である。長く抗菌薬を使うのは合併症のリウマチ熱の予防のためだが、日本ではリウマチ熱の患者はほとんどいない。確実な短期間の服用を勧める医師もおり、当院もまずセフェム系抗菌薬5日間を処方している。まだ溶連菌感染症の流行が続く可能性があるので、きちんと対応していきたい。

2017年7月2日

-院長コラム

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