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院長コラム

子どもの市販のかぜ薬を考える

 かぜとは一般には咳、鼻水、のどの痛み、熱などの症状がある急性のウイルス性上気道炎のことである。かぜの原因ウイルスには様々なものがあり、ウイルスそのものに効く薬はない。一方、かぜ薬として様々な薬が市販されているが、それらはかぜの症状を和らげるための薬である。多くは、咳止め、鼻水止め、鎮痛解熱剤が混ざった、かぜ症状を広くカバーできる総合感冒薬である。

 市販のかぜ薬(総合感冒薬)によって、使用できる年齢が異なっているので注意が必要である。なんと子ども用のシロップのかぜ薬には3か月から服薬できるものもある。一方で、アメリカでは、2008年より市販のかぜ薬は2歳未満には使用禁止である。そのため、日本でも薬の添付文書には、2歳未満の乳幼児には、医師の診察を受けさせることを優先し、やむを得ない場合のみ服用させることとの記載がある。

 乳幼児に市販のかぜ薬を飲ませることにはいくつか問題点がある。まずは解熱剤が含まれていることだ。かぜをひいても熱が出るとは限らないので、解熱剤は必要に応じて使うのが望ましい。次に、咳止めのコデインが含まれる製品がいくつかある。今年の7月に12歳未満にはコデインは投与しないよう厚労省からの通達で出ている(経過措置のためまだ使用可)。そして、鼻水をおさえる抗ヒスタミン薬も第一世代といわれるものが使われており、熱性けいれんとの関係が指摘されている。

 こうしてみると、市販のかぜ薬を使えるのは、2歳以上で、熱、咳、鼻水があるが程度の軽い方だろう。熱だけで、上気道の症状がない場合にはかぜかどうかはわからない。今やインターネットでかぜ薬が購入できる時代になったが、2歳未満は小児科を受診し、原因、症状に応じた薬を処方してもらうことを勧める。

2017年12月3日

-院長コラム

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