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院長コラム

インフルエンザワクチンの大幅遅れと対応

 今年はインフルエンザワクチンの製造、流通が遅れている。そのためワクチン接種の予定がいまだに立てられず、困った状況だ。厚生労働省の発表によると、今年のインフルエンザワクチン製造量は昨年より250万本以上少ない2528万本の予定で、実は昨年度に使用された本数を下回る。しかも、10月11月の供給量が例年より少ないのである。

 インフルエンザワクチンはA型株2種類、B型株2種類の4価ワクチンである。A型株のひとつが今年はA/埼玉と決まったが、この株の増殖が悪いためにワクチン製造量が大幅に低下することがわかった。そこで、ワクチン不足による混乱を避けるために、製造の実績のある昨年と同じワクチン株に戻した。その結果、製造開始に遅れが生じてしまったのである。

 しかも、昨年の熊本地震の直撃を受けたワクチンメーカーの影響で、当地区を含めて全国的に日本脳炎ワクチンが不足している。インフルエンザワクチン製造分を減らして、日本脳炎ワクチンを大幅に増産せざるを得なくなったといわれている。

 そこで今年は昨年と同程度の接種者数を確保するために、13歳以上は1回注射を徹底するよう、国が通達を出してきた。しかもその通達には、世界保健機関WHOは9歳以上の小児および健康成人に対しては「1回注射」が適切であるとの見解を示しているとある。確かに、日本では以前から9から12歳は2回接種の年齢である。しかし、WHOの見解に加えて、ワクチンが昨年と同じ株になったことから、昨年インフルエンザワクチンを2回接種した9から12歳の小児は、今年の接種は1回でよいと思われる。

2017年10月10日

-院長コラム

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