節分とは本来、季節を分ける、つまり季節の変わる節目を指し、立春、立夏、立秋、立冬の各前日のことであった。ところが、江戸時代以降では1年の始まりである立春の前日のみを指すようになった。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられていたので、それを追い払うために、豆まきが行われてきた。一般には「鬼は外、福は内」と掛け声を出しながら煎り大豆をまき、年齢の数だけ豆を食べて、無病息災を願うのである。
このように節分の豆まきは縁起の良い伝統行事であるが、小さい子どもがいる家庭で豆まきを行う場合には注意が必要である。なぜなら、子どもが豆を誤って気道に吸い込んでしまう事故が報告されているからである。気道異物は年齢では2歳以下が70%、特に1歳前半が最も多い。原因物質では、ピーナッツが70%、その他の豆が10%と豆類が多い。
元気な子どもが突然激しく咳き込み、その後ゼイゼイしている場合には、気道異物を疑う。豆類を食べているときに転んだりしてびっくりした時に吸い込むことが多いようである。豆類は気管支の中で水分を吸収して大きくなり、気管支をふさぐこともある。治療には、全身麻酔をかけて異物を取り除かなければならないので、なによりも予防が大切である。
したがって、節分の豆まきで注意すべきポイントは、3歳までは豆が口に入らないようにすることである。豆をまくのは外だけにして、家の中には豆をまかないか、豆の代わりに個別包装のキャンディーをまくのはどうか。無病息災を祈るイベントなので、優先すべきは安心安全であろう。
2017年2月2日