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診療科目小児科・内科

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院長コラム

麻疹風疹混合ワクチンが足りない

 今年3月、ひとりの台湾の観光客から沖縄で麻疹の流行が始まった。感染力が強く、かつ、麻疹に対するワクチンの接種率が低かったことから、4月には感染者が急増した。沖縄では感染拡大を防ぐために、通常は接種しない6か月以上1歳未満の乳児や、ワクチンを2回接種していない成人まで、緊急のワクチン接種を実施した。

 愛知県、福岡県、神奈川県でも麻疹患者が報告されて、一気にワクチン接種希望者が増加した。麻疹単独ワクチンは製造量が少ないためにすぐに消え、その代用の麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)に注文が殺到した。もともとMRワクチンは1歳児と小学校就学前の小児の定期接種用ワクチンで、年間の生産量は決まっている。メーカーは出荷調整せざるをえなくなった。

 秦野市でも5月上旬からMRワクチンが品薄になった。やむを得ず、当院では1歳児の第1期のみ接種し、当面の間は就学前の第2期は接種を待ってもらうことにした。

 一方で、厚生労働省はMRワクチンの全国的な不足は生じない見込みとの見解だ。そのうえ、日本小児科学会は5月22日にMRワクチンの推奨対象者について発表した。重症化のリスクが高い子どもたちを麻しんから守るために、最優先は第1期対象者(1歳児)と第2期対象者(小学校入学前の幼児)である。さらに、任意接種対象者として、2回接種を受けていない未成年者、0歳児の両親、医療保育教育関係者などを挙げている。

 最優先の分でさえ足りない現状が全く理解されていないことが残念である。全国的にはMRワクチンが偏在して、地域によっては余裕があるのだろうか。幸い麻疹は終息に向かっているが、MRワクチン不足の解消にはもうしばらく時間がかかりそうだ。

2018年6月10日

-院長コラム

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