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院長コラム

寒暖差はアレルギーになるか

 外来で、乳幼児連れのお母さん方から寒暖差アレルギーという言葉を聞くことがある。気温の変化で鼻水が出ることを指しているようだが、果たしてそのようなアレルギーがあるのだろうか。

 異物を排除しようとする生体の反応が免疫であるが、免疫反応の結果、生体に病気をもたらすような場合をアレルギーという。IgE抗体を作りやすい体質(アトピー素因)がある方では、侵入したアレルゲン(抗原)に特異的なIgE抗体が作られるようになる。アレルゲンが再び侵入してマスト細胞の表面のIgE抗体と結合すると、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出される。こうしたメカニズムで起こる病気には、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などがある。

 重要なことは、アレルギー反応にはアレルゲンと特異的IgE抗体の両方が必要ということである。スギ花粉症の方はスギ花粉特異的IgE抗体を持つために花粉が飛散する時期に症状が出るが、花粉がなければ無症状だ。ハウスダストやダニに特異的IgE抗体を持っている方は、アレルゲンが常に存在するために年間を通じて鼻炎症状が出やすい。アレルギーの診断ではアレルゲンをはっきりさせるために、特異的IgE抗体の検査が行われることが多い。

 一方で、アレルギー性鼻炎に似ている血管運動性鼻炎を寒暖差アレルギーという医師がいる。鼻アレルギー診療ガイドラインではアレルギーが証明されないため、非アレルギー性となっている。寒暖差はアレルゲンにならないので、寒暖差アレルギーとはおかしな言葉だ。アレルギーという用語は正しく使うべきだと思う。

2017年9月2日

-院長コラム

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